こひびと 増田晃
こひびと 増田晃
きみの額にかゝる美垂穗
赤き螢のともしを擧げてにこやかに
その美垂穗にくゆりもいらむ
きみの瞳にもゆる雛罌粟
鳶いろの涙にしめりておもく
その雛罌粟に咽びもいらむ
[やぶちゃん注:
・「額」は韻律から言うと「ぬか」と読ませたい。
・「美垂穗」は「みたりほ」か。額にかかった髪の隠喩。
・「くゆりもいらむ」は、私は烟となってそのあなたの額にかかった髪の中へ入って染み入ってしまおうといった意であろうか。
・「雛罌粟」はケシ目ケシ科ケシ属ヒナゲシ。瞳の隠喩。
「鳶いろ」は暗い赤みがかったブラウン、私のHP「鬼火」の背景色をやや薄くした感じである。
・「咽びもいらむ」は、私はむせび泣きつつ、その涙となってそのあなたの瞳の中に沁み入ってしまおうといった意であろうか。]