あらかじめはたらきかけることをやめよ パウル・ツェラーン
あらかじめはたらきかけることをやめよ
パウル・ツェラーン 飯吉光夫訳
あらかじめはたらきかけることをやめよ、
さきぶれをおくることをやめよ、
そのなかにただくるみこまれて
立っていよ――
無に根こそぎにされて、
すべての
祈りからもときはなたれて、
さきだって書かれていく定めの文字のままに
しなやかに、
追いこすこともかなわぬまま、
僕は君を抱きとめる、
すべての
安息のかわりに。
*
――僕は誰かに語らねばならないと思ったのだが僕はその時僕の母語を喪失していることに気づいた最早取り返しがつかない中でやっと気づいたのだった――

