忘却 生田春月
忘却 生田春月
影の匂ひに
裸身を浸し、
流轉の髪に
心をまかす。
蘆にかくれて
風を見つけ、
鳥をはなちて
聲ををさむ。
おもく埀れた
手は遠く、
動くものみな
忘れ去る。
色は死に
相(すがた)しりぞき、
時の巣に
ひとり眠る。
*
遺稿詩集「象徴の烏賊」より。底本は昭和42(1967)年彌生書房刊廣野晴彦編「底本 生田春月詩集」であるが、可能な部分を恣意的に正字に直した。
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忘却 生田春月
影の匂ひに
裸身を浸し、
流轉の髪に
心をまかす。
蘆にかくれて
風を見つけ、
鳥をはなちて
聲ををさむ。
おもく埀れた
手は遠く、
動くものみな
忘れ去る。
色は死に
相(すがた)しりぞき、
時の巣に
ひとり眠る。
*
遺稿詩集「象徴の烏賊」より。底本は昭和42(1967)年彌生書房刊廣野晴彦編「底本 生田春月詩集」であるが、可能な部分を恣意的に正字に直した。