「デュシャン」夢
1994年12月18日の夢
「越田貴花(こしだきか)てふ少女大正十年御國の爲稀有なる花束を以てして拠出せり」――という文章が磨り硝子に黒々書かれているのを私は手にしている。それ凝っと見ているうちに……その予言(?)の意味が解ってくる……そうだ! 僕はこの予言の意味を美事に解読し、それを世間に報知しなければならないのだ! と激しく思っている……その時ふと、磨り硝子から目を離す……そこは昔の小学生の僕が住んでいた懐かしい家の裏庭の景色である。小さな崖っぷちの庭に、黄ばんだきんかくしが土に埋まっている。犬小屋の上には、真新しいもう一つのきんかくしが鎮座している……[やぶちゃん注:越田貴花なる少女も、大正十年のエピソードも、それを「予言」と認識する理由も、全て不明であるが、最後のきんかくしの映像には、心当たりがある。その4年前、家を新築している最中、進捗具合を見に来た際、完膚なきまでに破砕された裏庭の瓦礫の上に、何故か壊されないままにあった旧宅のきんかくしが、妙な眩しさと寂しさを以て僕の心に残ったのである。この夢、全体にデュシャン的で好きだ。]
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