タスマニア紀行7《タスマニアで見る4》「タスマニアのフリードリヒ」
タスマニア紀行7《タスマニアで見る4》「タスマニアのフリードリヒ」
タスマニアの空は広い。そして透徹している、それは寂しいほどに――
ユーカリは擦れ合う葉から自然に発火し、黑焦げになる――
立ち枯れ山のように、焼けたユーカリが林立する山――
巨人塚のように平原に佇立する枯れ木――
荒寥たる無人の野――それは萩原朔太郎の「荒寥地方」――
フリードリヒ(Caspar David Friedrich)は、少年期に遭遇した弟の眼前の溺死を救い得なかったというトラウマから、その生涯を極めてストイックに、絶対の悲哀の中に過した。それは全く以って今風に言うならPTSDであったのだと僕は思う。フリードリヒはしかし、その禁欲的な自己の精神が乱されることを畏れて、当時の画家の常道であるローマへの道さえ拒んだ――
僕は思う――
フリードリヒをタスマニアに連れて来たい――
フルードリヒよ、君の描きたい景色は、ここに、ある。――
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