タスマニア紀行2《タスマニアで聴く2》「ミツバチの羽音」
タスマニア紀行2《タスマニアで聴く2》「ミツバチの羽音」
三日目に訪れた“Bridestowe Lavender Farm”で。僕と妻は恐らく類を見ない香水嫌い(僕は嫌いではないが、匂いそのものに過敏で、ちょっと強い女性の香水等には激しい生理的拒絶感を持つし、妻に至ってはクシャミ連発の立派なアレルギーである)である。さればこそラベンダー農場ではどうしようかと思いの外――見渡す限りの満開のラベンダー畑に立ったことのある人には分かる。あの「音」! 無数のミツバチが発する羽音のめくるめく「音」! 妻は昆虫の大嫌いな僕がラベンダーの畝の中でミツバチと戯れているのを不思議がった。その通り! 怖がることより「羽音のエクスタシー」の方が勝つに決まってる!――またしても僕はしばしこの逆位相の音の中で、云ひやうのない疲労と倦怠とを、そうして又不可解な、下等な、退屈な人生を僅かに忘れる事が出来たのである。――
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