蜜柑 尾形亀之助
美しい少年の頭の上へうまさうな蜜柑を一つのせて部屋の中を歩かせろ。
そして、少年の頭の蜜柑の香のしみたところを力いつぱい指で弾け。
少年がぶつとおこつて部屋を出てゆけばそれでいいのだ。
畳にころげてる蜜柑を拾つてきれいにむいて夕刊を見ながら喰べるのだ。
*
(<亜>26号 大正15(1926)年12月発行)
なるほど、僕は僕の愛するあの少年に思いっきり、人差し指にタメを入れて、パツン! とやってみたくなった――
« 「尾崎放哉全句集(やぶちゃん版)」前半校訂終了 | トップページ | 馬鹿息子 尾形亀之助 »
美しい少年の頭の上へうまさうな蜜柑を一つのせて部屋の中を歩かせろ。
そして、少年の頭の蜜柑の香のしみたところを力いつぱい指で弾け。
少年がぶつとおこつて部屋を出てゆけばそれでいいのだ。
畳にころげてる蜜柑を拾つてきれいにむいて夕刊を見ながら喰べるのだ。
*
(<亜>26号 大正15(1926)年12月発行)
なるほど、僕は僕の愛するあの少年に思いっきり、人差し指にタメを入れて、パツン! とやってみたくなった――