梅雨の中 尾形亀之助
雨の日は早くから部屋に電燈がついて
うす暗くなつた立樹の上に白けた空が窓のやうに残つた
電燈を見てゐると電燈の中にも雨が降つてゐる
とき折り梅の実が落ちる
何故私はぼんやりしてゐるのか
外が暗くなりきると夜になつてしまつた
そして
一日中傘をさしてゐたやうな気もちになつてゐた
*
(詩神第4巻醍号 昭和3(1928)年9月発行)
終行の無限写像……恰もマグリットの絵のように……
« 其の夜の印象 尾形亀之助 | トップページ | 秋 電燈 尾形亀之助 »
雨の日は早くから部屋に電燈がついて
うす暗くなつた立樹の上に白けた空が窓のやうに残つた
電燈を見てゐると電燈の中にも雨が降つてゐる
とき折り梅の実が落ちる
何故私はぼんやりしてゐるのか
外が暗くなりきると夜になつてしまつた
そして
一日中傘をさしてゐたやうな気もちになつてゐた
*
(詩神第4巻醍号 昭和3(1928)年9月発行)
終行の無限写像……恰もマグリットの絵のように……