氷國絶佳瀧篇 其參 Svartifoss スヴァルティフォス
Skaftafellスカフタフェットル国立公園内
Svartifoss スヴァルティフォス、「黒い滝」の意。
僕はこれほど美しい柱状節理を見たことがない(さればこそ珍しくカメラを持った)。観光案内書にある『パイプオルガンのような』という如何にも陳腐な表現は避けたいのだが、いや! しかしその滝の落ち口といい、その気品と優雅さは、将にカトリック教会の「それ」である。いや! そうではない。地母神が、ちまちましたキリスト教の誕生以前に創り上げた聖なる楽器の化石である。その妙なる楽の音は、未だ石化するに至らず、液化したままに今も、その歌口から流れ落ちているのだ――
滝の中景を撮った気に入っている写真が数枚あるのだが、妻の肖像権侵害になるので涙を呑んでアップしない。代わりに、妻の撮った中景を。この散漫に勝手な人物達を見ていると、僕の好きなバルテュスBalthusの“Mountain”という作品を思い出す。
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