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2008/10/19

尾形亀之助句集(附 尾形蕪雨一句・尾形余十五句)

尾形亀之助句集(附 尾形蕪雨一句・尾形余十五句)

    枇杷の果

ふとんほして留守にしてゐる隣家かな

残されて芽をふく桐や分譲地

葉桜や眼を病む人の美しき

水さして茶釜ぬるめり庭若葉

枇杷の果の一つ一つの黄いろかな

蚊帳中にこほろぎの来て児のむなし

五人来て五人で帰る獺祭忌

茶の花の垣添ひに行く引越荷

春雷や雲たひらかに湖(みづ)の上

(「蕉舎句帳」 昭和10年2月-11年8月より)

[やぶちゃん注:底本は思潮社1999年刊「尾形亀之助全集 増補改訂版」を用いた。「蕉舎句帳」は父尾形余十が主催した句会の記録帳。昭和9(1934)年2月16日から昭和11(1936)年6月14日までの吟行会15回を記す。尾形亀之助がここで用いている俳号は底本の編注によれば「無臍子」「むの子」「凹臍」「への字」「へそ」。]

月の山人驚かすうさぎかな   尾形蕪雨

炭つぎて思ひ出せる事のあり

夏の風座敷尋ねて歩きけり

ころがりて手の届かざる林檎かな

送り火や姉は廓に居ると聞く

涼しさや親子もろとも水の底  尾形余十

[やぶちゃん注:尾形蕪雨は本名尾形安平(あんぺい)、尾形亀之助の祖父で、雑誌「仙台文学」社友であった。尾形余十は本名尾形十代之助(とよのすけ)、尾形亀之助の父で、『ホトトギス』の虚子選句にしばしば登場していたとする。底本は河出書房新社2007年刊正津勉「小説 尾形亀之助 窮死詩人伝」のなかに引用されるものを用いた。正津氏が作品の最後で引用する最後の父の句、これは如何にも象徴的ではある。]

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