恒点観測員340号
それが僕の本名だ
339人の僕がいて
341番を越える無数の僕がいる
しょぼいじゃないか
「恒点観測員」
どこかの、国費もろくに出やしないボロボロの天文台で
近くの星好きの少年たちを相手に、黴の生えた望遠鏡で、ちいさな赤い火星を見せて悦に入っているんだ(いや、それはそれで本当は正しく至福であると僕は思っているのだが)――
僕を庇ってくれたソガ隊員も瀧に身を投げた――
キリヤマ隊長も高度な政治的判断で抹殺されたのだ――
だから僕は「ただの恒点観測員340号」に戻るに、若くはないのだ――さよなら! 僕の愛した地球よ! アンヌよ!……