泣いてゐる秋 尾形亀之助
蒲団のほしてある縁側に寝ころんでゐる秋晴れ
あくびをして部屋に入つたのを誰も見てはゐなかつたか
俺は空を見てゐてかつてに空が晴れてゐると思つたのだ
まつたく何のことだか知れたものではない三十年といふ年月よ
*
(銅鑼9号 大正15(1926)年12月発行)
« もうじき | トップページ | 二兄弟 イワン・ツルゲーネフ »
蒲団のほしてある縁側に寝ころんでゐる秋晴れ
あくびをして部屋に入つたのを誰も見てはゐなかつたか
俺は空を見てゐてかつてに空が晴れてゐると思つたのだ
まつたく何のことだか知れたものではない三十年といふ年月よ
*
(銅鑼9号 大正15(1926)年12月発行)