御身は泣きたまふ………… イワン・ツルゲーネフ
御身は泣きたまふ…………
御身はわたしの悲しみに涙を流す。私もまた、私を憫んでくれる御身に心を寄せて涙を流す。
けれど御身は、御身の悲しみにみづから涙を流したのではなかつたか。御身はただその悲しみを――私のうちに見出しただけではなかつたか。
一八八一年六月
[やぶちゃん注:なお、本詩については、1958年岩波文庫版の神西清・池田健太郎訳「新散文詩」(但し、実は高校生向けに一部表現を恣意的に改竄しているので注意されたい)による訳を私の「アンソロジーの誘惑/奇形学の紋章」に引用しているので、比較されたい。]
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全文校正中にブログ公開から落としていた一篇を発見。
これより数時間後には、「散文詩」全篇を公開する。
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