愚かしき月日 尾形亀之助
夕方になつてみても
自分は一度飯に立つたきりでそのまゝ机によりかゝつて煙草をのんでゐたのだ。
そして 今
机の下の蚊やりにうつかり足を触れて
しんから腹を立てて夜飯を食べずに寝床に入つてしまつた
何もそんない腹を立てるわけもないのに
こらえられない腹立しさはどうだ
まだ暮れきらない外のうす明りを睨んで
ごはんです――と妻がよぶのにも返事をしないでむつとして自分を投げ出してゐる態は……
俺は
「この男がいやになつた」と云つて自分から離れてしまいたい
*
(太平洋詩人第一巻第三号 大正15(1926)年9月発行)
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