手 尾形亀之助
俺に二本の足がはえ
ずるずるのびた
頭が大きくふくらんだ
俺はだんだんおとなになつた
二本の手は
顔をなでたり頭をかいたり
眼をこすつたりする
のみたくもない煙草を口にもつてゆくのも
この手だ
よく考へると
実際うるさい手だ
ぶきみにわかれた
五本の指
よく見ると
俺の手はきびがわるい
*
(詩人四月号 大正12(1923)年4月発行)
[やぶちゃん注:傍点「ヽ」は下線に代えた。]
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俺に二本の足がはえ
ずるずるのびた
頭が大きくふくらんだ
俺はだんだんおとなになつた
二本の手は
顔をなでたり頭をかいたり
眼をこすつたりする
のみたくもない煙草を口にもつてゆくのも
この手だ
よく考へると
実際うるさい手だ
ぶきみにわかれた
五本の指
よく見ると
俺の手はきびがわるい
*
(詩人四月号 大正12(1923)年4月発行)
[やぶちゃん注:傍点「ヽ」は下線に代えた。]