毒薬 尾形亀之助
私は毒薬の夢を見たことがある。覚えてゐるのは小さな罎に入つてゐる毒薬を握つてゐるうちになくして、すつかり困つてしまつたのだつた。
手にめりこんでしまつたのではないかといふ心配で、青くなつてゐるのであつたらしい。
×
私は毒薬は見たことがない。(これは飲んだことがないといふ意味かも知れない)食卓の茶わんの底に水が拭きのこされてゐるのを、毒薬のやうな気味のわるさを感じる。
*
(〈亜〉27号 昭和2(1927)年1月発行)
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私は毒薬の夢を見たことがある。覚えてゐるのは小さな罎に入つてゐる毒薬を握つてゐるうちになくして、すつかり困つてしまつたのだつた。
手にめりこんでしまつたのではないかといふ心配で、青くなつてゐるのであつたらしい。
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私は毒薬は見たことがない。(これは飲んだことがないといふ意味かも知れない)食卓の茶わんの底に水が拭きのこされてゐるのを、毒薬のやうな気味のわるさを感じる。
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(〈亜〉27号 昭和2(1927)年1月発行)