ぶどう畑のぶどう作り ジュウル・ルナアル作 岸田国士訳 附やぶちゃん注
「ぶどう畑のぶどう作り ジュウル・ルナアル作 岸田国士訳 附やぶちゃん注」を「心朽窩 新館」に公開した。
今回のテクスト化と注釈作業の過程で、「博物誌」についての追加注釈の必要性を強く感じた。今回は、「ぶどう畑のぶどう作り」に所収する「博物誌」の初稿ともいうべき凡そ20篇について、非力を承知の上で注釈して見たのだが、そこでは素人が考えても、失礼ながら岸田氏の訳の腑に落ちない部分が見出され、ここには何かフランス語のウィットが、エスプリがあって、それが訳し切れていない、全く示されていないのではという思いがふっと掠めるのである。幾つかの後進の訳本及び注によってそれが目から鱗となることもあると同時に、それらによっても満たされない部分があることもまた、事実である。僕のルナールの「博物誌」のラビリンスの旅は始まったばかりなのだという感を、深くした次第である。そうして、それが僕の知的好奇心をくすぐっているということも、また、告白しておかねばなるまい。ありがとう! ジュール!