夜が重い 尾形亀之助
(笑つたやうな顔をして来る朝陽に袋をかぶせる)
私は夜の眠り方を忘れてゐる
ぱつとした電燈の下で
指をくはへるやうな馬鹿をして
風に耳をかしげ足を縮めて床の中に眠れないでゐる
乾いた口に煙草を嚙んで
熟した柿のやうな頸を枕におしつけてゐる
眼に穴があいてゐる
*
(〈亜〉28号 昭和2(1927)年3月発行)
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(笑つたやうな顔をして来る朝陽に袋をかぶせる)
私は夜の眠り方を忘れてゐる
ぱつとした電燈の下で
指をくはへるやうな馬鹿をして
風に耳をかしげ足を縮めて床の中に眠れないでゐる
乾いた口に煙草を嚙んで
熟した柿のやうな頸を枕におしつけてゐる
眼に穴があいてゐる
*
(〈亜〉28号 昭和2(1927)年3月発行)