九月の半日 尾形亀之助
半日がながい
すつかり煙草にたよりきつてゐるやうな自分に気がつくと
私はさみしくなつてくわいてゐた煙草を捨てた
× × ×
五つも六つも手ごろの石をポケツトに入れてゐて
思い出しては嚙みくだき口にふくんで青やうす肉色の味をすゝりたい
電車に轢きくづされた小石が美しい色をして葡萄のやうにこぼれてゐる
――それを急いで一口にすゝつて其処を立ち去れば私は決してこう不幸ではない 不幸ではない
*
(太平洋詩人第一巻第四号 大正15(1926)年12月発行)
[やぶちゃん注:「くわいてゐた」はママ。]
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この後二連、何と素敵に慄っとすることか――

