大雪のホームに掻き寄せられた雪はないという普遍的真理に附いての考察
JRの“NAVITIME”の広告。大雪のホームである。電車が遅れているという電光掲示板の下、人々が待っている。ところが手前の少女は余裕で本を読んでいる。携帯に電車の遅れをメールで一早く伝えてくれるサービスによって事前に知っていたから、というのである……だから、なんだ!――と言いたくなるシチュエーションじゃないか!――電車の遅れを事前に知ったからと言って、何の余裕だ!――少なくとも僕は大雪による電車の遅れを事前に知ってホームで余裕で本を読みたいとは思わないぞ!……いやいや、こんなことを僕は言いたいのではないのである――この広告、もっと深刻な誤謬があるのだ!――画面の左端を見よう――駅のホームだ――勿論、屋根はあるんだ――それを支える柱もあるんだ――と、その下にピラミッドのように△に雪がタンマリ掻き寄せられているのだ!――僕は6年間雪深い富山にいたが「屋根のある駅のホームの内側の柱」にこんな風△に雪が掻き寄せられている様を見たことは、一度もないね!――そうした目で更に見よう――あ! 右側の奥に線路をはさんでもう一つのホームがある!――そこも屋根があるホームだ!――でも! そのホームの同じような柱の根元には……一抹の雪も掻き寄せられていないし積もってもいないじゃないか?!――そうした意地悪な目で更に見上げたその上方の連絡橋の屋根!――実際に空には今雪が舞っているのである。電車が遅延する程に!――ところがその陸橋の屋根の棟を見よ!――雪がない!――あるのは屋根の庇に近い部分だけで棟と棟に近い部分は緑の(この会社のイメージ色である)屋根が悉く露わになっているではないか?!――これは降雪の後、数日して雪が解けた様態であって電車が遅延する程に降雪している最中の屋根の状態では決してない!……さても彼を――この如何にも合成合成した広告を作った雪国の景色を知らないデザイナーを――僕は一日、富山に連れて行ってやりたい気が、した――

