無門關 三十三 非心非佛
三十三 非心非佛
馬祖、因僧問、如何是佛。祖曰、非心非佛。
無門曰、若向者裏見得、參學事畢。
頌曰
路逢劍客須呈
不遇詩人莫獻
逢人且説三分
未可全施一片
*
三十三 非心非佛
馬祖、因みに僧、問ふ。
「如何なるか是れ佛。」
祖曰く、
「非心非佛。」
と。
無門曰く、
「若し者裏(しやり)に向かひて見得せば、參學の事(じ)、畢(をは)んぬ。」
と。
頌して曰く、
路して 劍客に逢はば 須らく呈すべし
詩人に逢はずんば獻ずること莫かれ
人に逢ふては 且らく三分(さんぶ)を説け
未だ全く一片を施すべからず
*
三十三 非心非佛
馬祖道一は、ある時、機縁の中で僧に問われた。
「仏とは、如何なるものか。」
と。
馬祖、言う。
「心ではなく、仏でもない。」
無門、商量して言う。
「もしもこの、二人の問答、見切れたら、禅の修行は、おしまいだ。」
次いで囃して歌う。
道を行き
剣の達人に出逢ったら――迷わず己が剣を抜け
ほんとの詩人に出逢わぬ限り――己が詩歌を嘯(うそぶ)くな
人に逢うたら 且らく 話は三分で切り上げよ
決して全てを施すな
[淵藪野狐禪師注:第二十七則・第三十則・第三十四則をも参照。]
« 頌 | トップページ | 無門關 三十四 智不是道 »