フォト

カテゴリー

The Picture of Dorian Gray

  • Sans Souci
    畢竟惨めなる自身の肖像

Alice's Adventures in Wonderland

  • ふぅむ♡
    僕の三女アリスのアルバム

忘れ得ぬ人々:写真版

  • 縄文の母子像 後影
    ブログ・カテゴリの「忘れ得ぬ人々」の写真版

Exlibris Puer Eternus

  • 僕の愛する「にゃん」
    僕が立ち止まって振り向いた君のArt

SCULPTING IN TIME

  • 熊野波速玉大社牛王符
    写真帖とコレクションから

Pierre Bonnard Histoires Naturelles

  • 樹々の一家   Une famille d'arbres
    Jules Renard “Histoires Naturelles”の Pierre Bonnard に拠る全挿絵 岸田国士訳本文は以下 http://yab.o.oo7.jp/haku.html

僕の視線の中のCaspar David Friedrich

  • 海辺の月の出(部分)
    1996年ドイツにて撮影

シリエトク日記写真版

  • 地の涯の岬
    2010年8月1日~5日の知床旅情(2010年8月8日~16日のブログ「シリエトク日記」他全18篇を参照されたい)

氷國絶佳瀧篇

  • Gullfoss
    2008年8月9日~18日のアイスランド瀧紀行(2008年8月19日~21日のブログ「氷國絶佳」全11篇を参照されたい)

Air de Tasmania

  • タスマニアの幸せなコバヤシチヨジ
    2007年12月23~30日 タスマニアにて (2008年1月1日及び2日のブログ「タスマニア紀行」全8篇を参照されたい)

僕の見た三丁目の夕日

  • blog-2007-7-29
    遠き日の僕の絵日記から

サイト増設コンテンツ及びブログ掲載の特異点テクスト等一覧(2008年1月以降)

無料ブログはココログ

« 「翡翠」入手 | トップページ | 片山廣子短歌抄 《やぶちゃん蒐集補注版》 順列整序 計230首 »

2009/04/10

無門關 三十八 牛過窓櫺

  三十八 牛過窓櫺

五祖曰、譬如水牯牛過窓櫺、頭角四蹄都過了、因甚麼尾巴過不得。

無門曰、若 向者裏顛倒、著得一隻眼、下得一轉語、可以上報四恩下資三有。其或未然、更須照顧尾巴始得。

頌曰

過去墮抗塹
回來却被壞
者些尾巴子
直是甚奇怪

  三十八 牛、窓櫺(さうれい)を過ぐ

 五祖曰く、
「譬へば、水牯牛(すいこぎう)の窓櫺を過ぐるがごとし、頭角四蹄(ずかくしたい)、都(すべ)て過ぎ了(をは)んぬに、甚麼(なん)に因りてか尾巴(びは)過ぐることを得ざる。」
と。

 無門曰く、
「若し者裏に向ひて顛倒して、一隻眼を著(つ)け得、一轉語を下し得ば、以て上(かみ)は四恩に報じ、下(しも)は三有(さんぬ)を資(たす)くべし。其れ、或ひは未だ然らずんば、更に須らく尾巴を照顧して始めて得べし。」
と。

 頌して曰く、

過ぎ去れば抗壍(こうざん)に墮(お)ち
回り來れば却りて壞(やぶ)らる
者些(しやさ)の尾巴子(びはす)
直(まさ)に是れ 甚だ奇怪

  三十八 牛、連子窓を過ぎる

 五祖慧能が言う。
「例えば、水牛が連子窓の向うを過ぎて行くのを室内から見ているとしよう。――牛の頭が見えた、次に角、そして二本の前足、ずーと胴体が続き、二本の後ろ足、が見えるな――さて、『牛』の全てはそこを過ぎ去った――それなのに、どうして尻尾が通り過ぎるのが見えぬのじゃ!?」

 無門、商量して言う。
「もしもこの、様(さま)に向かって、さかしまに、独眼一徹、見切ってしまい、転迷開悟の一言を、ポンと吐き捨てられたなら、この世に中で、父母(ちちはは)仏王様衆生、そこから受ける貴い恩に、すっかりすっきり報いてしまい、この世の苦しむ、ありとある、衆生凡夫も、救い済み。――さても、勿論、そんなことが出来んとなれば、まず何よりも須らく、この『しっぽ』をば見届けよ、それがお前の生きる道!」

 次いで囃して言う。

通り過ぎれば 落とし穴
戻るとなれば 粉微塵
そもそも『ここ』の「しっぽ」こそ
まさしく 真正大妖怪!

« 「翡翠」入手 | トップページ | 片山廣子短歌抄 《やぶちゃん蒐集補注版》 順列整序 計230首 »