無門關 三十六 路逢達道
三十六 路逢達道
五祖曰、路逢達道人、不將語默對、且道、將甚麼對。
無門曰、若向者裏對得親切、不妨慶快。其或未然、也須一切處著眼。
頌曰
路逢達道人
不將語默對
攔腮劈面拳
直下會便會
*
淵藪野狐禪師書き下し文:
三十六 路に達道に逢ふ
五祖曰く、
「路に達道の人に逢ふ、將に語默をもつては對さざらんとす、且らく道(い)へ、將に甚麼(なに)をもつてか對せんとする。」
と。
無門曰く、
「若し者裏(しやり)に向ひて對得して親切ならば、妨げず、慶快なることを。其れ、或ひは未だ然らずんば、也(ま)た、須らく一切の處に眼を著(つ)くべし。」
と。
頌して曰く、
路に達道の人に逢はば
將に語默をもつては對せんとせざれ
攔腮(らんさい)劈面(へきめん) 拳(けん)せば
直下(ぢきげ)に會(ゑ)するものは 便ち會(ゑ)す
*
淵藪野狐禪師訳:
三十六 路に達人に逢う
五祖慧能が言う。
「さて、お前が路で禅を究めた人に逢った。まさに、お前は言葉で対話することも出来ず、黙っているわけにもいかぬのだ! さあ、答えよ! まさに何をもってその人に対するや!」
無門、商量して言う。
「もしもこの、シークエンスの、核心の、テーマをそっくり、スカルプティング、更にザクっとディグ出来りゃ、そいつはベリィ・ハッピーさ! バット、うまくいかなけりゃ、エニタイム、エニホェア、オープン! ユア アイ!」
次いで囃して言う。
あんさんの行く道で その道究めはった人に 逢わはったとおしやしたら
喋らはっていても 黙らはっていても あきまへん
そん人のおとがいの辺りをおつかみやす したら面(おもて)をおなぐりおし
道を究めはった人やったら どなたはんでも 分かるんとちゃいますやろか
[淵藪野狐禪師訳注:商量の訳の最後は敢えて第三の眼を意識して、「アイズ」ではなく、「アイ」と単数形にした。]