尾形亀之助『色ガラスの街』の「ある晝の話」のネット上の電子テクストの誤りについて その他 空行の欠落について
ある晝の話
疲れた心は何を聞くのもいやだ と云ふのです
勿論 どうすればよいのかもわからないのです
で兎に角 ――
私は三箱も煙草を吸ひました
(改頁)
かすかに水の流れる音のするあたりは
ライン河のほとりなのか――
×
どうしてこんなだらう と友人に手紙を書いて
私は外出した
[やぶちゃん注:ネット上では、本詩は、
ある晝の話
疲れた心は何を聞くのもいやだ と云ふのです
勿論 どうすればよいのかもわからないのです
で兎に角 ――
私は三箱も煙草を吸ひました
かすかに水の流れる音のするあたりは
ライン河のほとりなのか――
×
どうしてこんなだらう と友人に手紙を書いて
私は外出した
といった感じになっている。第一連の二箇所の行空けが実行されていない。これも圧倒的なネット上テクストの底本であるところの思潮社現代詩文庫版「尾形亀之助詩集」が誤っているためである。また、全集では「×」の前後を等間隔にしているが、『色ガラスの街』では上記の通り、×の後に有意の一行空けが行われている。確かにこの行空けは不信だ。恐らく版組の誤りである。であるが、以前から申し上げている通り、不自然なままにして、注記するか、訂正して訂正済注記をするか、それが後世に残す全集の編集者の当然の義務であると僕は思う。]
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