人を恐れて後生に悪果を招くことなかれ
人を恐れて後生に悪果を招くことなかれ――
歴史の氷室から切り出して その文脈だけを見ると 昔の自称預言者の言葉も悪くない――
日蓮だ――
僕の家のまん前にあるのは日蓮宗の寺院で
先日から寺の前に張り出されているこの言葉が 痛く気に入っている――
悪くない――僕も人を恐れるのは もう やめだ――
日蓮も そしてお前も僕も ただの 「人」 に過ぎぬ されど「人」だ そんな「されど人」が「たかが人」を恐れていては 始まらぬ――
――にしても――考えて見れば 人間存在を解析する時 僕等は 僕等が その解析される対象の集合の中にいると いう自覚を恐らく持ってはいないのだ 自己が永遠に対象から疎外されること それは 正に 「外化」された人間そのものである さればこそ 我々は「我々」なるものを解析する それも自分勝手に しかし確かにこれは お笑い以外のなにものでもない……