正しい尾形亀之助の『色ガラスの街』所収「散歩」の詩
散 歩
とつぴな
そして空想家な育ちの私の心は
女に挨拶をしてしまつた
たしかに二人は何處かで愛しあつたことがあつた筈だ と言ふのですが
そのつれの男と言ふのが口髭などをはやして
子供だと思つて油斷をしてゐたカフエーのボーイにそつくりなのです
[やぶちゃん注:従来の尾形亀之助の詩集及び1999年増補改訂版思潮社版全集、それらを元にした現在のネット上に存在する従来の総てのテクストは総て第一連2行目を
そして空想家な育ちの心は
とする。しかし、尾形亀之助の惠風舘大正14(1825)年刊の処女詩集『色ガラスの街』の「散歩」は、確かに、こうである。]
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僕を含めて誰一人としてこれに気づかなかった訳か――ここでどちらが詩語として優れているかなどという問題のすり替えをしてもらっては困る――僕を含めて今まで誰一人として――詩集『色ガラスの街』で尾形の詩をちゃんと読んでこなかったことに――僕自身と総ての尾形亀之助を愛する者どもに――あきれたのである――これで今――僕が何をもくろもうとしているかが――ご想像頂けたものと思うのである――
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