尾形亀之助『色ガラスの街』の「白い路」のネット上の電子テクストの誤りについて
白い路
(或る久しく病める女のために私はうつむきに歩いてゐる)
兩側を埃だらけの雜草に挾まれて
むくむくと白い頭をさびしさうにあげて
原つぱの中に潜ぐるやうになくなつてゐる路
今 お前のものとして殘つてゐるのは
よほど永く病んだ女が
遠くの方で窓から首を出してゐる
[やぶちゃん注:ネット上では、本詩は、
白い路
(或る久しく病める女のために私はうつむきに歩いてゐる)
兩側を埃だらけの雜草に挾まれて
むくむくと白い頭をさびしさうにあげて
原つぱの中に潜ぐるやうになくなつてゐる路
今 お前のものとして殘つてゐるのは
よほど永く病んだ女が
遠くの方で窓から首を出してゐる
となっている。「(或る久しく病める女のために私はうつむきに歩いてゐる)」は副題のように表題の次の行(詩の最初の行ではない)の下方に極端なポイント落ちでつく。これも圧倒的なネット上テクストの底本であるところの思潮社現代詩文庫版「尾形亀之助詩集」がこのように誤った表記をしているせいである。但し、ややポイントを落とすことはしている。いずれにせよ、改められなければならない。詩の冒頭のこの丸括弧の一行、そもそも、変、である。次の次の「東雲」を見れば気づくことである。尾形亀之助の天驢(天馬ではない)空を行くが如き詩に狎れると、こういうのを不思議に感じなくなる。これが落とし穴である。]
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