「こゝろ」初版本表紙の謎
心
【荀子解蔽篇】心者形
之君也而神明之主
也【禮大學疏】總包萬
慮謂之心又【釋名】心
纖也所識纖微無不
貫也又本也【易復卦】
復其見天地之心乎
【註】天地以本爲心者
●やぶちゃん勝手自在書き下し文
心
【「荀子」解蔽篇。】心は形の君なり、而して神明の主なり。【「禮」・「大學」疏。】總て萬慮を包む、之を心と謂ふ。又、【「釋名」。】心、纖なり。識る所、纖微も貫かざる無きなり。又、本なり。【「易」復卦。】復たは其れ、天地の心を見るか。【註。】天地に本を以て心を爲す者
*
僕はこの康熙字典からの引用を、秦恒平氏のように「こゝろ」の解釈の一助とすることに、意識的に避けてきたのだが――そういう回避が明らかに愚劣であったということはずっと前から気づいてはいたのだが――
――君――今も僕には「こゝろ」は汲めども尽きぬ迷宮なのだ……
*
本カテゴリ内の「こゝろ」初版本の各種画像は昭和49(1974)年日本近代文学館発行ほるぷ刊の復刻本を用いた。
――これは――かつて僕が愛し僕を愛した少女が僕に贈ってくれた「こゝろ」である――
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