うつそみとかかはりもなくわが心いくたびか死にまだ生きてゐる 片山廣子
うつそみとかかはりもなくわが心いくたびか死にまだ生きてゐる
片山廣子は昭和32(1957)年3月19日8時45分に亡くなった。79歳。前より脳溢血のため病臥していた。
本歌は角川書店発行の同年9月号の雑誌「短歌」に所載された遺稿集の掉尾に記されたものである。2006年月曜社刊の「野に住みて」の短歌の拾遺パートの最後に置かれている(引用もそこから)。但し、その前書によって実際の作歌は昭和24(1949)年(十月以降)のものと思われる。従って、辞世ではない。ないが、それはあたかも辞世の和歌の如く我々の胸を打つ。
ちなみに、彼女の死は僕が生まれて33日めのことであった。
« 「こゝろ」3種(+1)映像作品評≪リロード≫ 追記:新藤兼人監督作品「心」について | トップページ | 日傘させどまはりに日あり足もとの細流れを見つつ人の來るを待つ 片山廣子 »