井上英作兄悼 又は ファイアー・ローズ
演劇部の合同公演に付き合い――うちは練習不足は否めぬものの、15分の軽いコントとしては及第点だ――いや、それにしても相手校の青年達の心の絆を描くオリジナル脚本「クリスマス・ローズ」の俳優達のテンションは美事であった。久しぶりに高校生らしい祝祭的演劇を見た気がする。君達の瞳に乾杯!――夜帰って、買い込んだ出来合いのイタリアンでワインを飲み、メールを整理し、一週間、入試やら何やらでぐだぐだになって、左耳も右手も不調、疲れが溜まっているから10時半過ぎには寝てしまった――ところが妙に切迫した夢――それはおぼろげな「誰か」の激しい「何か」の怒りの夢、そして未明の路上で僕の財布を奪おうとする男に対して激しい憤りの夢、そんな二つばかりを見て、その強盗の後姿に「ギエェ!!!」という怪物のようなうわ言を発した自分に驚いて――1時に目が覚めたのであった。心臓がいつになくひどくドキドキして、左の耳鳴りの鼓膜に鈍く響く。昼間の芝居のテンションのせいかとも思ったが、ニル・アドミラリの僕にしては如何にも不審であった――ここ数日、どうしてもやりたいテクスト作業が複数あったから、そのせいかとも思ったが、それにしてもこの拍動は妙だ――。メールを開くと、ある知人から「早いものです…」という題名が目に付いた瞬間、気がついた……そうか、もう、あの畏兄の自死から3年経っていたんだ……
井上兄――
一日遅れのファイアー・ローズ……雪よ、降れ! 血のような真っ赤な雪よ、おぞましき滑走路を埋め尽くせ!……
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