僕の鮮やかな憂鬱……
……白い月見草の鉢植え……ポール・デルヴォーの絵葉書……君と見た「道成寺」……座布団の血の染み……「誓いの休暇」……ドルイドの鈴……中目黒の白いタチアオイ……「何するんだよ……」と呟く君……ジョアンの「声とギター」を口ずさみながら歩いた森戸海岸……氷見の神社……新宿の駄菓子屋……槍ケ岳……銀座のスナックのピアノ弾き……江ノ島のおでん屋のおばさん……「もう逢えないのかな……」という君の声……七夕の竹取り……「水の駅」……タクシーの中の秘やかなベーゼ……一本の赤い薔薇……紙袋に入ったアリス……仄かな紫陽花のような匂い……タルコフスキイの「ノスタルジア」……君の、君の、そして君の幽かな香り――愛した僕――死ぬ私――万華鏡が綺麗だな……僕があの人から貰った万華鏡が……
世界の涯まで連れてって 寺山修司
みんなが行ってしまったら
わたしは一人で手紙を書こう
みんなが行ってしまったら
この世で最後の煙草をすおう
みんなが行ってしまったら
酔ったふりしてちょっぴり泣こう
みんなが行ってしまったら
せめて朝から晴着を着よう
一番最後でもいいから
世界の涯まで連れてって
世界の涯まで連れてって