僕の脳 MRI横断画像Ⅱ
先週の土曜日、義理の母を見舞った名古屋で、義父と酒を飲んでいる最中、激しい眩暈に襲われ立っていられなくなった。酔ったことにして先に横になって、誤魔化した。
翌日は義母と一緒に半日、家内にいたので、問題はなかった。歩くのに支障はなく、帰鎌後の今週の月曜に耳鼻科で診察をしてもらうと眼振が見られた。今までに見られない症状であったが、「内耳性のものとは思われますが……他に何か言葉が出ないとか……ありませんか?」という、医師の語尾の「が……とか……」が妙に気になった。
眩暈の改善薬はもらったものの――これは以前にも処方してもらったが、はっきり言って、効かない。眩暈の処方箋は所詮、効かない薬が多いのである。何故なら眩暈の本質は多分に心理的神経症的なものであるからである――今日まで変化はなく、とりわけ、左耳の耳鳴りがこの二日ほどひどく、昨夜はそれで1時頃に目覚めてしまった。
――更に昨日辺りから、時々、授業の途中に言葉が詰るような……「気がした」。
……今、考えてみれば、春休みで暫く授業をしておらず、突然、3年で「藪の中」の4クラスの朗読から、2時間連続を含む「竹取物語」ぶっ通しの講義3クラスなればこそ、疲れて詰ってもおかしくはなかったのだ……
――しかし、今日は流石に気になった。
……思い出せないわけではない……が、言葉が思うように出ない……「ような気がした」。
今日、総ての授業後に、意を決して休みをとり、職場近くの脳外科を受診、生まれて初めてMRIを撮った。
――これが「僕の脳」だ――
よく見て頂こう。この一番左は面白い。
右上(反転しているので左眼窩下部)だけに薄い半円形の灰色――実際のデジタル画像ではくっきりとした強烈な白で現れた――が現れている。これは上気道炎である。但し、やや張れている程度で病的なものではないと医師は言った。――しかし僕には、これが、僕の左のエウスタキオ管を圧迫しているのであろうという確信を持たせた。
僕は初めて僕の耳鳴りの張本人を僕自身の目で見た気がした――。