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2010/09/21

耳嚢 巻之三 鴻巣をおろし危く害に逢し事

「耳嚢 巻之三」に「鴻巣をおろし危く害に逢し事」を収載した。

 鴻巣をおろし危く害に逢し事

 下谷の武家とやらん又寺と哉覧(やらん)、召仕ふ中間鴻の巣をおろしける事ありし由。然るに右中間或日米を舂(つ)き居(をり)たりしに、空より何か物音して我上へ落ち懸る音しける故、大に怖れて家の内へ逃入りしに、鴻一羽下し來りて觜(くちばし)を縁の柱へ三寸餘突込し。鴻も讎(あだ)を報(むくひ)んとて彼男を突損じ、勢ひの餘りて柱へ觜をたて、引拔んとすれど叶はざりし故、大勢立寄りて打殺しけると。彼男今少し逃やう遲くばかの觜にかゝりなばと、舌を振ひ恐れしと也。

□やぶちゃん注

○前項連関:珍奇動物から動物の人間への意外な復讐行動で連関。

・「鴻」コウノトリ目コウノトリ科コウノトリCiconia boyciana。「鸛」「鵠の鳥」などとも書き、別名ニホンコウノトリとも言う。以下、ウィキの「コウノトリ」より引用する。『ヨーロッパではstorkといえばこれでなく、日本でいうシュバシコウ(英名:White stork)のほうを指す』とある。このシュバシコウ(朱嘴鸛)はコウノトリ属の一種Ciconia ciconiaで、和名は「赤い嘴のコウノトリ」の意味である。『全長約110115㎝、翼開長160200㎝、体重4~6㎏にもなる非常に大型の水鳥である。羽色は白と金属光沢のある黒、クチバシは黒味がかった濃い褐色。脚は赤く、目の周囲にも赤いアイリングがある』。『水辺に生息し、水棲動物を食べる大型の首の長い鳥という特徴は共通する。しかしコウノトリの大きさは、サギの最大種のアオサギと比べても明らかに大きい』。『分布域は東アジアに限られる。また、総数も推定2,0003,000羽と少なく、絶滅の危機にある。中国東北部(満州)地域やアムール・ウスリー地方で繁殖し、中国南部で越冬する。渡りの途中に少数が日本を通過することもある』。『成鳥になると鳴かなくなる。代わりに「クラッタリング」と呼ばれる行為が見受けられる。くちばしを叩き合わせるように激しく開閉して音を出す行動で、ディスプレイや仲間との合図に用いられる』。『主にザリガニなどの甲殻類やカエル、魚類を捕食する。ネズミなどの小型哺乳類を捕食することもある』。『主に樹上に雌雄で造巣する。1腹3―5個の卵を産み、抱卵期間は3034日である。抱卵、育雛は雌雄共同で行う。雛は、約5864日で巣立ちする』。『広義のコウノトリは、コウノトリ亜科に属する鳥類の総称である。ヨーロッパとアフリカ北部には、狭義のコウノトリの近縁種であるシュバシコウ Ciconia ciconiaが棲息している。羽色は似ているが、クチバシは赤。こちらは数十万羽と多く、安泰である。「コウノトリが赤ん坊を運んでくる」などの伝承は、シュバシコウについて語られたものである』。『しかし、シュバシコウとコウノトリとの間では2代雑種までできているので、両者を同一種とする意見も有力である。この場合は学名が、シュバシコウはCiconia ciconia ciconia、コウノトリはCiconia ciconia boycianaになる』。『日本列島にはかつて留鳥としてコウノトリが普通に棲息していたが、明治期以後の乱獲や巣を架ける木の伐採などにより棲息環境が悪化し、1956年には20羽にまで減少してしまった。そのため、コウノトリは同年に国の特別天然記念物に指定された。ちなみにこのコウノトリの減少の原因には化学農薬の使用や減反政策がよく取り上げられるが、日本で農薬の使用が一般的に行われるようになったのは1950年代以降、減反政策は1970年代以降の出来事であるため時間的にはどちらも主因と断定しにくく、複合的な原因により生活環境が失われたと考えられる』。『その後、1962年に「特別天然記念物コウノトリ管理団体」の指定を受けた兵庫県は1965年5月14日に豊岡市で一つがいを捕獲し、「コウノトリ飼育場」(現在の「兵庫県立コウノトリの郷公園附属飼育施設コウノトリ保護増殖センター」)で人工飼育を開始。また、同年には同県の県鳥に指定された。しかし、個体数は減り続け、1971年5月25日には豊岡市に残った国内最後の一羽である野生個体を保護するが、その後死亡。このため人工飼育以外のコウノトリは国内には皆無となり、さらには1986年2月28日に飼育していた最後の個体が死亡し、国内繁殖野生個体群は絶滅した。しかし、これ以降も不定期に渡来する複数のコウノトリが観察され続けており、なかには2002年に飛来して2007年に死亡するまで、豊岡市にとどまり続けた「ハチゴロウ」のような例もある』(以下、現在の人工繁殖及び再野生化の取り組みについて記載されているが割愛する)。

・「かゝりなば」の「ば」の右には、底本では『(んカ)』とある。この「かゝりなん」を採る。

■やぶちゃん現代語訳

 鴻の巣を降ろしたがために危うく害に逢わんとせし事

 下谷に住む武家とも、また寺内のことにてとも聞く。まあ、話の出所は定かでは御座らぬ。

 召仕うて御座った中間、鴻(こうのとり)が御屋敷の庭樹の上に架けた巣を、邪魔ならんと降ろしたことが御座った。

 それから日の経たぬうち、この中間が庭で米を舂いて居ったところ、

――バッサバッサバサ!

と空より何か物音がし、それがまた、自分の真上へ落ち懸ってくる音がした故、吃驚仰天、泡を食って家の内へ飛び込んだところ、

――ビュウゥゥゥ~ン!

と鴻が一羽、急に舞い降りて参り、

――ズン!

とその嘴(くちばし)を、縁の柱へ三寸ばかり突っ込んで止まると、羽交いを波打たせて暴れ悶えて御座った。

 ――これ、察するに、鴻も畜生乍ら、巣を奪われ、子を失(うしの)うた仇(あだ)を報いんとしたものである。――

 ところが、かの男を突き殺そうとして、し損じた上に、その勢い余って柱へ嘴を突き立ててしまい、引き抜こうとしたが遂に叶わず――大勢集まって参った中間やら下男やらが散々に打ち殺したとか。――

――時に、かの男、真っ青になって、

「……い、い、今少し……に、に、逃ようの……遅かっ、かっ、かったら……こ、こ、この……す、す、鋭き、は、嘴(はし)……の、の、脳天……ぶ、ぶ、ぶ、ぶっすり…………」

と、舌を振わせて震え上がっておった、とのことで御座る。

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