谷啓を始めとするありとあらゆる芸能人の夢
昨日、僕は東京のデパートの(ペントハウスでないところが味噌)屋上で、ありとあらゆる芸能人が寝そべって好き勝手なパーティを開いているのに招待された夢を見た。
招待してくれたのは、先日自宅で転落して亡くなった谷啓だった。僕は、
「大橋巨泉が、あなたのことを、『天が二物を与えた人』と言っていますが、あの男のことは大嫌いなんですが、でもトロンボーンとお笑いということなら、確かに正しいことを言っています。」
と不遜にも言ったのだが――そうしたら、
「面白いことを言う奴だ! ガチョーン!!」
と言われてそこへ連れていかれたのだ。
そこには往年の宝塚の死んでしまった女優さん(!)や、何故か、「仮面の忍者 赤影」に出ていた女優さんや、配役の人たちが皆、忍者の格好でいるのであった。おまけに忍者屋敷もセットされているのだ! 僕はそこで「青影」の役もやらせてもらったのだ!
気がつけば、あの「仮面の忍者 赤影」に出ていた悪役の俳優さんたちが、みんなで、僕をスタンディング・オベイションで迎えてくれているのであった。
会場には時々、知らない普通の人が入ってくるのだけれど、そうすると、警備員の人が――その人々は皆、太泰の大部屋の俳優さんたちなのだ――時代劇風にかっこよく怖ろしく脅すと、いそいそと帰ってゆくのだ。
僕は、夜空の見える、屋上で横たわったまま――そう、皆、死んだように横たわっている――何時終わるとも知れぬ、そのパーティーを楽しみながら、横たわって、ショウと言うより、夜空を見ているのだ――隣りに横たわった谷さんが――「面白いか?」と言った――うん、と応えると――彼は如何にも嬉しそうなあの笑顔を浮かべて――「そうか」――と言った――そうして、いつになく、僕は嬉しくなった――そうして今朝、僕は目が醒めた――
[やぶちゃん注:僕は谷啓に幼稚園の時に逢ったことがある(撮影所が目と鼻の先にあったのだ)。大泉学園の家の前で、酔っ払った彼ら(クレージーキャッツ一行)と擦れ違った。植木等が予想に反して素面で真面目だった。後から谷さんがふらふらやって来た。――ガチョーン!――はしてくれなかったが、僕が――「谷啓だ!」――と指さしたら――「そうだぞ! 文句、あっか!」――と言ったのを、確かに覚えている。……だから、きっと誘ってくれたんだな!……ありがとう! 谷さん!]