痛飲
昨日、僕の愛する少女と結ばれた僕の愛する少年と飲んだ。彼等がさし當り不幸ではない――僕自身が矢張り「不幸ではない」という點に於いて此れは皮相な謂ひではない――ことに取り敢へず安堵した。記憶をなくす程飲んだのは久し振りだ――さうして今朝起きて見たら、脛に少し傷がついてゐた。何處かですつ轉んだらしい。僕はその血を見乍ら――梶井基次郎の「路上」の「歸つて鞄を開けて見たら、何處から入つたのか、入りそうにも思へない泥の固りが一つ入つてゐて、本を汚してゐた。」という結末を思ひ出して――『これは僕のスティグマだな』と思つた……
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では暫く、ごきげんよう――