世界を語り尽くすこととは偽である
宇宙即ち世界を語り尽くすことを目指した人間は自身がちっぽけな生物種に過ぎないということを自覚し乍らもそれを征服しようとした。
この命題が偽であることも分からない人間は宗教を創始することで有象無象の神と言う外化した存在を措定することで解決しようとした。
――何と言う、愚劣さ加減!――
その後人類はそれによって自己解決が図られぬことを悟って有象無象の思想を打ち立てた。
――何と言う、愚劣さ加減!――
宗教は思想であり、思想は宗教である。
この命題は真である。
従って我々人類は完膚なきまでに愚劣である。
その存在証明(レゾン・デトール)を分かっていたのは――
老子と荘子――
そうして禅宗の殺された中国の幾たりかの名もなき僧――
そして
――多分、近代ではヴィトゲンシュタインだけであった。
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