森鷗外 舞姫 / 森鷗外「舞姫」やぶちゃん現代語擬訳全篇
正字正仮名版森鷗外「舞姫」及び『森鷗外「舞姫」やぶちゃん現代語擬訳全篇』を「やぶちゃんの電子テクスト:小説・戯曲・評論・随筆・短歌篇」に公開した。今回の3年生の「舞姫」の授業で、僕は生まれて初めて「舞姫」の全文の現代語訳に挑戦、生徒にも全篇を配った(昨年、後半部の訳を行い、当時の生徒に配ったことはある)。但し、多数の仕掛けを施したものであるから単なる現代語訳と呼ばずに現代語擬訳と名打った。今までも、何人かの作家や文学研究者が試みてはいるが、僕のはオリジナルに、相応の自信がある。それは朗読に耐え得る訳を試みたからである。是非、声に出して、豊太郎になりきって読んで頂きたい。仕掛けとは、例えば、冒頭である。何故に鷗外は「石炭をばは早や積み果てつ」と大仰に振りかぶって起筆したのか? これはこれから語る総てが――致命的に「果て」た――状態にあることを、言わんとしたものではなかったか? だからここにはどうしても「もう――すっかり終ってしまった」という失意と諦観の印象が必要なのである。また、クロステル街の形などである。それは凹字型なのだ――子宮の如く――
なお、今年の3年生の諸君、今回公開した擬訳は、先般お配りしたものとは細部を改訳してある。本頁のものを決定稿として、お読み頂ければ幸いである。試験が近いね。「舞姫」論を書く小論文も出題している。健闘を祈る。
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