原民喜句集(杞憂句集) 縦書正字版
「原民喜句集(杞憂句集) 縦書正字版」をやぶちゃんの電子テクスト:俳句篇に公開した。ルビがないため、作業は短時間で終わったが、その分、横書頁との差別化をはかるために、総てが戦前・戦中の句であることを鑑み、句本文の漢字を恣意的に正字に換え、明朝のフォントもプロポーショナルから等幅に変更した。
――この句集の題名にお気きになられただろうか――「杞憂句集」――これは一つの推測でしかないのだが――本句集の題名をもしも民喜が戦前に命名していた――としたら――
*その可能性は「杞憂句集 その一」が昭和16年で終わり、末尾に「拾遺」があって及び民喜による「以下は新作」というパートがあることから、僕は極めて高いものと考えているのだ。
――杞憂――空が落ちてくる――そしてその下敷きになって死ぬことを恐れた杞の国のある人の、あり得ない愚かな馬鹿馬鹿しい憂い、不安――
――「杞憂句集 その二」は――「原子爆彈」の連作で終わる――
――その時! 天は落ちたではないか!……
――落ちて来た太陽に人々は焼き殺されて死んでいったではないか!……