原発死――原発は既に死者を出している――自殺された福島の農家の方の御冥福をお祈りします
有機農業をなさっていた福島の64歳の農家の方が縊死された。常から子供たちに安全な野菜をと言っていた彼――摂取制限の通達を受けた彼――彼の農園の残された汚染されていない7500株のキャベツの写真(私にはそれが被爆死をした累々たる人間の頭部のように見えたことを告白する)――「福島の野菜はもうだめだ」と呟いた彼――今朝の朝日新聞だ――
能面のような顔で機械のように後手後手の弁解に終始し、未だに原発を必要だと思わせるための愚劣な計画停電を繰り返す東京電力よ、いやさ、日本国よ――敢えて政府とは言うまい。『原発何でもあり天国』を作り上げたのは高度経済成長以降の政治に関わったすべての人間と、それを黙認し、また制し切れなかった私を含む国民総ての責任である――お前たちは皆、彼を「原発死」の最初の一人として銘記せよ――いや、その彼一人の死によってさえ――お前たちは万死に値するのだということを心に刻め。――
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厳密には東海村JCO臨界事故で亡くなった二名の方を始めとして、外にも私は隠された「原発死」の方は先行していらっしゃると思う。台湾では実際に原発の炉の清掃をされていた方がその被爆によると思われる脳腫瘍で亡くなっている。――もう何年も前の民放のドキュメントだ――「時には炉の底の水を喉が乾いて飲んだこともあります」とその人が言う――そのカメラが喋っている彼の頭部へティルト・アップした――その彼の頭は腫瘍によって2倍にも膨れ上がっていた……「この数ヵ月後に彼は亡くなった」というナレーションかテロップがそこにかぶった。……
【2011年5月3日追記】この数週間、多くの報道されて来なかった過去の原発被爆者や被曝死された方がいることを、僕もネット上でも多く知ることが出来た。例えば、これを見よう。日本では当時、NHKでの放送が封印された「隠された被爆労働~日本の原発労働者」だ。1995年イギリスチャンネル4のドキュメンタリー、フォトジャーナリスト樋口健二氏の取材になる“NUCLEAR GINZA”だ(右の関連動画で3パートまである)。これだけでもう、「奴ら」の隠蔽とその非人間性を知るには十分過ぎる。
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……教え子諸君、「常陽」、「もんじゅ」に「ふげん」の僕の皮肉な命名の話を思い出して、呉れ給え――
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