あの夜の思い出
小学6年生の頃のことだ
もう真っ暗になってから母に叱られた
勉強のことだった きっと出来ない算数だったろう
父は富山に単身赴任でいなかった
僕は家を飛び出した
が 行くところもなく 家の傍の階段の下の 路上に停車した車の陰で卑屈にしゃがんでいた
丁度 今の季節だった
寒くて 小便をしたくなった
しゃがんだまま ズボンをおろしてそこで小便していた
小便をしている最中に 母が階段を駆け下りる音がした
「たーちゃん!!!」
と探している甲高い声が響いた
僕は小便をしながら
「ママ!!!」
と涙ながらに叫んだ
母は涙ながらに笑いながら
「……馬鹿ね!……」
と僕が小便をするのを待って 一緒に手を繋いで 階段を登った――
♪ 夜空を見たら 小さな星が 涙のように 光っていた ♪
♪ いたずらが過ぎて 叱られて 泣いた ♪
♪ 子供の頃を 思い出した ♪
――子供の頃を――僕も思い出した――