ウィトゲンシュタインの遺言
私の以上の諸命題は、私を理解する君がそこを通り、そこの上に立ち、そこを乗り越えて行くとき、最後にそれが常識を逸脱していると認めることによってのみ、解明の役割を果たす。(君は――言ってみれば――梯子を登り切った後には、その梯子を投げ捨てなくてはならないのである――)君はこれらの命題を乗り越えなければならない。その時、君は正しく世界を見ている。
語ることができないものについて、我々は、沈黙せねばならない。
――Ludwing Wittgenstein「論理哲学論考」終章(6.54及び7)
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ウィトゲンシュタインはラッセルにこの「論理哲学論考」を捧げる時、「これで私はほぼ世界を語り尽くしたと思います」と語ったという。世界を滅ぼさんとする原発に病的で愚劣なトートロジーを繰り返すエセ科学者どもに比して、真の数学者にして哲人たるウィトゲンシュタインの、この言葉は絶対的に美しい!