三月のうた リターン 否 真の鑑賞/感傷
谷川俊太郎 作詩
武満徹 作曲
波多野睦美 歌
私は花を捨ててゆく――
ものみな芽吹く三月に――
私は道をすててゆく――
子らの駆け出す三月に
私は愛だけを 抱いてゆく――
喜びと恐れとお前――
お前の笑う――三月に
私は愛だけを 抱いてゆく――
喜びと恐れとお前――
お前の笑う――三月に
*
三月十九日
母が逝った後には
この歌の意味は大嫌いな谷川俊太郎の作意を軽々と超えて
この歌の印象は大好きな武満徹の旋律を辛くも微妙に超えて
僕には確かな重要な途轍もない重い意義を持って感じられるようになったのだ
母よ
あなたは
確かにこの歌の
その通りだったのではないのか?
僕は
それを名指すことは出来るけれど
しかし
示すことは終生出来ない――
……母さん……誓って僕はあなたしか愛しません
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