富田木歩論「イコンとしての杖」藪野唯至――くすぐったいよ 母さん
父さんもかみさんも「筆者」直々に木歩のことを心を込めて説明してやったのにさ、結局、未だに読みゃしないよ――しょうがないね、それは分かってたよ――だからさ、言ったんだ、母さんのためだけに書いたってね♪
210ページ『魅惑の俳人 富田木歩』だよ。たかだか4ページだ。――本誌のためにも(この雑誌は超党派である。勿論、僕は現在、どこの俳諧上の派閥にも属していない)――流石に折角の依頼原稿だからね――皆様、本屋で立ち読みされて、御笑覧あれかし――買ってくれなんどとも、買って欲しいなんどとも言わないし、思わない。立ち読みでOKだ。失礼乍ら『俳句界』様――でもね母さん、原稿料は最初から断ったんだ。母さんのために書くと心に誓ったからね――芥川龍之介が自嘲めいて言った「売文の士」に成り下がらなかったことも――母さん、母さんのお蔭なんだ♪ ありがとう かあさん♪ 僕が母さんに上げる、初めての――幼稚園の時に作った気がするなあ、母さんへの勲章――僕の母さんをレリーフした手作りの紙の勲章――そうだ、幼稚園の時とおんなじのたかが紙の勲章なんだな――でも僕の母さんに捧げる勲章なんだ♪ かあさん――