鷄頭 北原白秋
秋の日は赤く照らせり。
誰が墓ぞ。風の光に
鷄頭の黄なるがあまた
咲ける見てけふも野に立つ。
母ありき、髮のほつれに
日も照りき。み手にひかれて
かかる日に、かかる野末を、
泣き濡れて歩みたりけむ。
ものゆかし、墓の鷄頭。
さきの世(よ)か、うつし世にてか、
かかる人ありしを見ずや、
われひとり涙ながれぬ。
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秋の日は赤く照らせり。
誰が墓ぞ。風の光に
鷄頭の黄なるがあまた
咲ける見てけふも野に立つ。
母ありき、髮のほつれに
日も照りき。み手にひかれて
かかる日に、かかる野末を、
泣き濡れて歩みたりけむ。
ものゆかし、墓の鷄頭。
さきの世(よ)か、うつし世にてか、
かかる人ありしを見ずや、
われひとり涙ながれぬ。