ドリュウ・ラ・ロシェルの侏儒の言葉 私
私
私は「私たち」ではなく、「私」と言明しなくてはならない。
又
私はあなた方の言う「正義」を認めない。
又
私は今、あなた方に宣告するのではなく、私の立っているこの今この場に拠って、フランスに、欧州に、そして人類総てに宣告するのである。
又
私は常に国家主義者であり、同時に国際主義者である。
又
私は石橋を叩いて渡るような「知識人」だけにはなりたくなかった。
又
私は思えばずっと漂泊者だった。しかし、もし漂泊が出来ないとなれば――死などという代物をそう辛抱強く待てるものではない。
又
私は現象を食い飽きた。今、私は本質だけを希求している――いや、本質の彼方にある語りえぬものだけを求めている。
又
私は若い頃よりずっと情熱的である――そうして若い頃よりずっとその情熱から自由でもある。
又
私は赴くべき場所を示しながら、いつもよりは気品のある裸体をしている。
又
私は賭けた。そして私は負けた。――だから私は死を要求する。
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