ドリュウ・ラ・ロシェルの読書日記
「カラマーゾフの兄弟」はもう三度か四度目だ。今回はその形而上学的な性質に少しばかりがっかりした。ゾシマ長老――ちょっと聖品収納室と信者の臭いがきつ過ぎる。――イワンの異端審問官の話――これは短か過ぎる。
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「悪の華」も再読――詩人は愛人ジャンヌとシファリスで結ばれていたが、この病い故にこそ、彼はジャンヌの腕に抱かれていながら不能だったのだ。
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「レ・ミゼラブル」再読――何と言う脳天気と健康さ! 何とあの頃のフランスは、撓み傾ぎ壊れそうでいながら、どっこい丈夫だったことだろう! そして無邪気に己れの心に耳傾ける小説家こそが、同時に比類なき歴史家なのだ。この叙事詩がゾラの総てを生んだのだ。横倒しにされて果敢に抗う馬のような――都市に蝕まれた民衆の叙事詩だ。
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サルトルの「出口なし」――佳品? いや。それほどでもないか――こいつは、あらゆる本物の別名、シュールレアリスム(超現実主義)なんかではない――所詮、こいつはスーレアリスム(卑俗現実主義)である。