新編鎌倉志巻之一 影印本による厳密校訂終了公開 / 同校訂作業「卷之二」開始
水戸光圀纂録・河井恒久纂述・松村清之考訂・力石忠一参補「新編鎌倉志巻之一」の影印本による厳密校訂を終了した。先にも言った通り、影印に従ってルビで多量の読みを入れた。白文であった漢文表記部分も、影印の訓点に従った書き下し文を付加したので、相当に読み易くなっている。完全なリニューアル版と言ってもよい体裁となった。
僕が鎌倉郷土史を調べていたあの20代の頃、この「大日本地誌大系」の「新編鎌倉志」を入手して小躍りし、それを携えて鎌倉の山々を寺社や旧跡を跋渉しながらも、その漢文脈部分には殆んどお手上げ、臍を噛んだことを今は懐かしく思い出す(と言っても、勿論、書き下した今でも、完全にその意味を読みこなしているなどとは口が裂けても言えないのだが)。
ともかくも、30年前の僕のように――八百屋で買った林檎一顆を昼飯にして鎌倉を歩くような――愛憎に生きた鎌倉人の心と歴史の微かな匂いをかぎ出そうとする――如何にも地味で流行らない、数少ない鎌倉を愛する奇特な少数の若者たちに――僕の電子テクストを捧げたい――
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さても、次は「巻之二」の同様の校訂だ……が……これ、多量の漢詩群が立ちはだかっている……しかし……独りで攀じ登ろう――今夕より作業に入ることとする。