斷章 五 北原白秋
暮れてゆく雨の日の何となきものせはしさに
落したる、さは紅き實の林檎、ああその林檎、
見も取らず、冷かに行き過ぎし人のうしろに、
灰色の路長きぬかるみに、あはれ濡れつつ
ただひとつまろびたる、燃えのこる夢のごとくに。
(「思ひ出」より)
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暮れてゆく雨の日の何となきものせはしさに
落したる、さは紅き實の林檎、ああその林檎、
見も取らず、冷かに行き過ぎし人のうしろに、
灰色の路長きぬかるみに、あはれ濡れつつ
ただひとつまろびたる、燃えのこる夢のごとくに。
(「思ひ出」より)