僕が欲しかったのは
確かに雨に煙る電線の
その漏電する火花であつた
僕はそれを
伏木の國分濱の近くの内心戀してゐた友人の彼女の家の傍で確かに見つめてゐたのを思ひ出す
龍之介よ
君の樣には僕はやつぱり生きられないらしい
その代はり
僕は僕の最後の道を選ぶことにした
それは確かに
或阿呆の一生であらう
それが
私淑する君への
僕の答へだ
これは
僕が好きになれない太宰より 遙かに 愚劣だといふことは 重々に承知の上さ
太宰よりも僕が愚劣であることは
確かに――殘念だな――
太宰よ お前も俺も 芥川龍之介の弟子たり得ない――
やつぱり芥川龍之介の弟子は岡潔だけだな――

