山本幡男 末期の走り書き
[やぶちゃん注:山本幡男の末期の走り書き。死の十日前、昭和29(1954)年8月15日前後。見舞った新見此助に示したもの。赤鉛筆書き。私は、今年三月十九日に天に召された母が、筋萎縮性側索硬化症を宣告された直後、私に「自殺したくても自殺も出来ない」と呟いたのを思い出す。ここで私たちは山本幡男という一個の生が、かく最悪の状況下にあっても最後まで決して希望を捨てなかったという事実を肚に銘じねばならない。]
死ノウト思ツテモ死ネナイ スベテハ天命デス 遺書ハ萬一ノ場合ノコト 小生勿論生キントシテ鬪爭シテヰル 希ミハ有ルノデスカラ決シテ一〇〇%悲觀セズヤツテユキマセウ